2.2 コンボリューション逆投影法
コンボリューション逆投映法(CBP法)
コンボリューション補正逆投影法、もしくはコンボリューション逆投影法(CBP : Convolution Back Projection)は、逆投影が作るボケの補正に相当する操作を、投影データに対して事前に施す方法です。まず、ある定められた補正関数(コンボリューション関数) と投影データをコンボリューション(畳み込み積分)することで、補正済み投影データ を得ます。 は 投影データ と補正関数 を用いて、次のように表されます。
補正済みの投影データ を逆投影することで、ボケの無い再構成画像を得ることができます。コンボリューション関数と呼ばれる関数 の基本形状は、中央がデルタ関数的な正値、左右が負の値でに漸近しており、波形積分値がというものになります。これは、遠くまで伸びたボケを補正するデコンボリューションの関数形であることを意味します。コンボリューション関数 の具体例として、Ramachandran と Lakshminaraynan による を以下に示します。
また、Shepp と Logan による を以下に示します。
多くの CT装置では、これらのコンボリューション関数が用いられます。実際に、コンボリューション関数 を用いると投影データがどのようになるのか、見てみましょう。前節で得た、0,10,0 の投影データに対してのコンボリューション結果は次のようになります。

このように、投影データはコンボリューションによって正値の両端がえぐれたような形となります。このエグレが逆投影によるボケと互いに相殺することで、エッジの強調された理想的な再構成画像を得ることができます。実際に、補正済みの投影データを空画像に対して逆投影していく様子を見てみましょう。

まずは左から右方向へ、逆投影します。

続いて、左下方向から右上方向への逆投影です。

下方向から上方向への逆投影です。

最後に、右下方向から左上方向への逆投影です。

中央の値は増加していき となっていますが、周囲の値は正の値と負の値で相殺され、最終的には となっています。

中央の値が になるように全体をスケーリングすると、周囲の値は となり、ほぼ元の数値ファントムを再現することに成功しています。このように、投影データに対してコンボリューション補正を行うことで逆投影時の画像のボケを消すことが、コンボリューション逆投影法の概要です。ここでは、数式の詳説は割愛します。
kano先生、
お世話になっております。
わかりやすい資料、どうもありがとうございます!
CT の2.3以降はまだできてないでしょうか?
以上、宜しくお願い致します。
徐
こんにちは、徐さん。
コメントありがとうございます。
長いこと更新を怠ってしまい申し訳ありません。
仕事が落ち着いたら更新を再開していきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。